- 天丼
投資家インタビューVol.1(前編) 敗者氏 「俺は弟に殺されました」
最終更新: 2020年5月30日

皆さんこんにちは「投資のネタ帳ブログ」管理人の天丼です!
「投資家インタビュー」と銘打たせていただきました本企画では、株式投資界でプレイヤーとして活躍する個人投資家の方にインタビューさせていただき、記事にしていこうと考えております。
投資系のインタビュー記事はこの世の中に結構な数ありますが、私自身が投資界でプレイヤーとしてやっていた経験を生かし、他とは一風変わった記事に出来ればと考えております。
記念すべき第一回の語り手は「敗者」さん。表には一切現れない伝説的な株式投資家で、取材も今まで受けたことが無い方です。
投資初心者の方も、ベテランの方も為になるようなインタビューになったと思っております。
是非ご一読を!
プロフィール
敗者(はいしゃ)
兼業投資家。2014年半ばよりインデックス投資家としてスタート。
給与で海外ETFを積み立てて行くもパフォーマンスに満足出来ず、2015年に個別株投資家に転身。とある株にて資産の80%程度を失う。
その後EAの自動売買に手を出すも、資産の残りを失い極貧生活へ。生活費を切り詰め貯蓄へ回し、先物トレーダーへ転身。
2020年、コロナショックでパフォーマンスを好転させるも、現在は年初来マイナス。今もまだドローダウンの谷を転がり落ち続けている。
株を始めた理由は『結婚』を考えたから。
天「まずどうして株を始めようと考えたのでしょうか」
実は最初に手を出したのはETFでした。
これでいわゆる理論値である年間数%を取っていければいいと考えてのことでした。
が、ある日自分の人生を俯瞰して見て、サラリーマンの年収+数%では「結婚」が出来ないと思ったので、株をスタートしました。
天「結婚? サラリーマンの年収でも結婚はできると思いますが、なぜ出来ないと思ったのでしょうか。」
普通のサラリーマンでも結婚してる人っているじゃないですか。彼らは愚かだと思います。
彼らの中には今コロナで政府から給付金もらえないと生活が出来ない、なんて人達もいる。
要はたかが10万という金額程度を今すぐもらえないと生活が破綻する人達が家族を作っているということなんです。これは俺から見たら異常です。
天「そ、そうですかね」
彼らに問いたいですよ。「なんでお前らの資産程度で結婚なんてリスクが高いことをやってんの?」
と。それで、最終的にはそれで生活保護だとかを使って、税金を食い潰すわけじゃないですか。
そういう人間はなりたく無いのです。
だからこそ、ある一定の資産をつくってから結婚という行為に取り組みたいのです。俺は貧困が虐待やネグレクトを生んでると思ってますしね。
天「な、なるほど。資産のラインで言うとどれくらいあれば「結婚」したいと考えていたのですか?」
まあやっぱり億でしょうね。ただ、当時の自分は5000万と考えてました。5000万でいけたら今後投資でも増やしていけるという証明にもなりますしね。
天「『結婚』というのが敗者さんにとって重要なワードというのは理解しました。当時『結婚』を考えていた方がいらっしゃったということでしょうか?」
いいえ、いません。生きてて彼女が出来たこともありません。
天「ええ……」
ゴールドマンサックスと戦い、400万を失う。
天「ETF投資から『結婚』を意識し個別株投資家に転身、個別株ではどのような投資をしていたのでしょうか」
最初は自分の所属する業界の株を買ったりしてました。
自分の専門知識も上手く使えますしね。業界も広いのでインサイダーに抵触する恐れもありませんでした
天「元手はどれくらいでスタートされたんですか?」
スタート金額は約500万です。
新卒の頃から給与やボーナスを貯めていた物でした。大型株を中心に触っていたので資産自体は大きく増えも減りもしませんでした。
天「そこから手法的な変化があったような形でしょうか?」
そうですね。元々勉強は嫌いではないので、本をいろいろ読みました。
勉強の中自分で一番腑に落ちたのが、「上がるときはゆっくりだが落ちるときは一瞬である」という値動きの事柄です。
株は上がる時、思惑などでじわじわと時間をかけゆっくりその価格を上昇させていきますが、売られる時は一瞬です。
半年かけて積み上げた値段を一週間で戻すこともある。自分にとってその下落が一番美味しく見えました。
天「つまりショーター(注:空売りをメインにするトレーダーのこと)としてそこで開花したと?」
そうですね。開花といえるほどの成果はありませんが、ショートを中心に自分の手法を組み立てて行こうと考えました
天「最初にショートした銘柄は?」
今も忘れられません。メッセージという銘柄です。
メッセージ(2400)とは

2016年当時上場していた大手介護施設運営事業者。
当時の売上高は約670億円。
高齢者が次々と転落死する事件がメッセージの介護施設「Sアミーユ川崎幸町」で発生。
警察の調査の末、事故ではなく連続殺人事件であったことが判明する。
犯人は当施設に勤める従業員であった。
2015年不審死発覚によるニュースを受け、株価は4500円から2000円まで大幅下落。
その後大きくリバウンドし3500円程度まで。
その後出来高が減少しダウントレンドとなるが年末にはSOMPOホールディングスに3500円でTOBされ、SOMPOケアメッセージとなり上場廃止。
天「なぜメッセージを最初に空売りしたのですか?」
メッセージのニュースを見ていて思ったのが、「事件は売り、事故は買い」という投資格言です。
メッセージの件は明らかに前者の事件に当たり、そしてニュース報道後の9月には半値以下になっておりました。
このまま介護事業者としての免許が剥奪されると考え、ショートを始めました。
天「事件は売りは保有株を手放せという意味では……。実際にメッセージは下がったのでしょうか?」
まあそれはそうなんですが、下がるという点では一緒かなと。
ともかくメッセージは、ショートした瞬間から大きくリバウンドを始めました。
連日大幅高です。どんどんと資産がなくなっていきました。
天「それで損切りをされたのでしょうか?」
いやその時点では全く。逆にナンピンショートを重ねました。
気づいた時にはもう遅く見たことのない含み損になってました。
それでも連日上昇するので、全財産を失わない様にと最後は諦め損切りしました。
400万円の損切りです。
天丼「なんとなくその時の値動きを覚えております。たしか大きなリバウンドから少ししてゴールドマンサックスから大量保有報告書が出ましたよね」
そうです。俺が売っているとき、猛烈に買い上げる主体がいたのですが、おそらくゴールドマンサックスだったんでしょう。
大量保有報告書を見た時、言葉が出なくなりました。
俺の弟はゴールドマンサックスの社員なんです。
天丼「ええ……」
いわば俺は弟に殺されました。
天丼「(絶句)」
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