- てんどん
本当にあった株の怖い話Vol.1昭和HDとウェッジHD 概要とDAIBOUCHOU氏インタビュー編
こんにちは天丼です!
株のめちゃくちゃ怖い体験談を御伺いする、シリーズ第一弾。
本当にあった株の怖い話!
今回は昭和HDとウェッジHDについてお話を聞きたいと思います。
ではまず昭和HDとウェッジHDに何があったか。概要をまずまとめたいと思います。
昭和HDとウェッジHDって何??


日本の億万投資家名鑑 日経ホームマガジンにも掲載され一時期個人投資家界隈で人気化した株。
此下益司氏が代表を務めるタイの投資会社、ASIA PARTNERSHIP FUND(以下 APF)傘下の企業。
関係性としては、昭和HDの親会社がAPFにあたり、ウェッジHDの親会社が昭和HDにあたる。で更にウエッジHDがタイの貸金業者グループリースの親会社に当たる。
APF→昭和HD→ウェッジHD→グループリース
という形。
昭和HDはテニスボールなどのメーカー。
ウェッジHDはアニメコンテンツなどの作成。
グループリースは海外でのマイクロファイナンスと一貫性がない企業体なのも特徴。
昭和HDがAPF傘下になると発表したのは、平成20年6月12日。
取締役として此下兄弟(注 益司氏並びに竜矢氏)が候補として発表され(参照)、同時に第三者割当増資としてAPF傘下企業である明日香野ホールディングスが指名される(参照)。
当時筆頭株主であったVTホールディングス(注 自動車ディーラー)並びに株式会社メアリー(注 モックやルーデンなどを手がけた仕手筋)持分が大幅に希薄化されることは上記の資料から見て取れる。
当然株式会社メアリーはこれに反対、新株発行差し止め処分を出す(参照)。
が却下。平成20年6月27日には第三者割当増資が実施され(参照)APF傘下となる。
余談ですが、当時メアリー側から役員候補として推薦された川戸 航介氏はSAMURAI&J PARTNERS株式会社傘下となったAIP証券の100%株主であり、世界って狭いんだなあって思いました(同姓同名かもしれ無い)。
その後も元大株主から訴訟を提起される(参照)など雑多雑多は継続したものの(注 後に和解)、さらなる割当増資を実施し(参照)、APFの支配を強めていく。
だが、平成22年に平成20年6月27日の第三者割当は架空増資であったのではないかとの指摘が金融庁からなされ(参照)同年12月に差し押さえ処分取り消しを求め提訴(参照)。が請求は棄却(参照)(注 個人においては勝訴)
そんな騒動の最中平成23年5月31日にはウェッジを買収(参照)。
グループリースを孫会社にしつつ、意欲的な中期経営計画を発表する(参照)

その後も基本的に証券取引等監視委員会を相手としたバトルは継続し、国家賠償請求訴訟を提起したり(参照)、株価操作を目的とした架空取引の疑いにより約40億円近い課徴金納付をするように監視委に金融庁へ勧告される(参照)(注 後に決定)
ただ成長には意欲的な方針を示し、2015年新中期経営計画を策定(参照)

意欲的な売り上げ目標とアジアなら!!アジアなら!!なんとかなるんだよ!!みたいな成長モデルが散見される。

その後J-トラストとの大型提携をし(参照)目標に向け前進するも、グループリースにおいて、代表此下益司氏の偽計および不正行為の可能性をタイの経済誌が指摘し暴落。
そして実際にタイ証券取引委員会から指摘される(参照)。
指摘の内容としてはアイル氏のブログにとても詳しく書いてあります。
そしても現在においても同内容においてタイの証券取引等監視委員会と争い続けております。
上記は一連の騒動を昭和HDの開示等を参考にしてまとめた概要になります。
実録インタビューNO.1 DAIBOUCHOU氏
ここからは実際にウェッジHD並びに昭和HDを購入していた方のインタビューを通し、当時の空気感、どうして買ってしまったかなどを含めてまとめて行きたいと思います。
プロフィール
DAIBOUCHOU(@DAIBOUCHO)(ブログ)

2000年より株式投資を開始。
2004年に専業投資家に。
不動産流動化バブルなどを経て億トレに。
一時期は10億達成するなどその名の通りトレードスタイルも「大膨張」である。
著書に「DAIBOUCHOU式 新・サイクル投資法」(宝島社)など。
ウェッジHD+昭和HDを買ったワケ
天「まず最初にですが、DAIBOUCHOUさんが当時買われていたのはウェッジHDですか?」
ウェッジHDだけじゃなく、昭和HDもJトラストもですね。
いわゆるグループリース銘柄を買っていましたね。
天「なるほどですね。買われた理由などって覚えてらっしゃいます?」
元々この株自体はカバーしている人が居て教えて貰っていたのですが、最初はなんかうさんくさい会社だなと思って買いませんでした。
でも後々になって東証のIRフェアでJトラストがブースを出してまして、そこでよく調べたんですよね。
そしたら当時(注2016年頃)は、グループリースの時価総額が膨れ上がっており、ウェッジHDが持つグループリースの時価評価額がとても大きかったのです。
で、さらにウェッジHDの時価総額を考えると更に昭和HDも割安という不思議な状態になってました。
それぞれの持ち株比率に時価総額をかけると割安に見える、それもあって購入に踏み切りました。
天「当時の動き的に見ますと、2007年頃に買ったグループリースの事業が先鋭的なマイクロファイナンスビジネスとして成立してきたように見えてきて人気化してきてたという形ですね」
そうですね。Jトラストの藤澤社長が息巻いていたのも大きかったと思いますね。
グループリースが作り上げたデジタルファイナンス事業の与信審査システムに優位性が有る、それをカンボジアから更に広げていく、と言う事業の将来性が評価されてたと思います。
ウェッジの失敗と失敗から学んだこと。
天「デジタルファイナンス事業と言えば当時私も調べた記憶があって、確か不良債権比率が2%と説明会で言っていて(注 こちらの動画 21:00あたりから)これ日本で言うと地銀と同じくらいの不良債権比率くらいでさすがにおかしいなこれって思った記憶があります(注 日銀資料より)」
そう、確かにそれは気になっていたんです。
だけど300ドルで貸し出しの拠点が作れて、不良債権比率も低く、金利もすごく高くてすごく鞘がとれるビジネスという所に注目してしまってましたね。
たしかにこう考えてみるとおかしいですね。
天「ウェッジでめちゃくちゃ損した人って周りにはいらっしゃいましたか?」
いや、意外と周りにはいなくてでして、グループリースの疑惑が報道された時(注 2017年三月)も1000円くらいでウェッジHDは下げ止まったりしたんですよね。
グループリースの下げ方に比べてウェッジHD、昭和HDの下げは優しかったですね。
私は株価の本質的な所にグループリースの株価との鞘があったと思っていたので、グループリースが暴落する最中よったウェッジHDなどを全部投げました。
利確で一応終わることはできました。
最初の方に買えてたというのが大きかったですね。
天「うさんくさい会社だという発言があったかとも思いますが、それでも買った理由はなぜでしょうか?」
まず、うさんくさい会社というのはほぼ誰もが知っていたので下げの材料にはならないかなと思ってました。
逆にうさんくさい所が良い会社に変わったとしたら、そこで株価は上がるんじゃないかと期待してました。
しかし粉飾疑惑が噴出するのは予想外でしたね。
精々計画数字盛っている程度だと思ってました。
また彼らは世界展開を目指してたので、展開している間は当然その失敗は見えないワケですよね。
それならその上げを取って失敗の可能性が見えてきたときに全て投げてしまえばいいとも考えての投資でした。
天「なるほどですね。利確で終わったということは失敗かというと難しい所ですが、今回の投資から学んだこと、次に生かせることとしたら何でしょうか」
まあやはり私的には失敗です。
悲しいなという感情もありますね。記事に自身がウェッジHDを持っているのが載っちゃっているので、すごくそれは嫌ですよね。
私としては分散投資でこういう見えづらいリスクを減らす必要があると感じました。
一銘柄PFで5%以内にしておくとかでしょうね。
あとは、例えば今回みたいな世界進出みたいに結果に時間がかかるような物は、思惑だけで結構上がってくれるので、早めに乗ってできるだけ早く気づいて逃げるというのはある程度割り切ってやる投資としてありだなあとも思いました。
天「なるほど、本件から逆に割り切って前向きな投資手法として昇華されたのは面白いですね」
あとはまあ江守HDみたいな例もあるので、売掛金などには注目したら見抜けるかもしれませんね。
今回みたいにそもそも売り掛けがあたりまえなビジネスには機能しないですが。
個人では中々判断が難しい投資でした。
天「詳細にご説明ありがとうございます。本日はありがとうございました」
本当にあった株の怖い話Vol.1 ウェッジHD+昭和HD すぽ氏インタビュー+まとめ編 に続く