不動産ワーカーズインタビューVol.1 株式会社日本住宅企画代表 倉橋信二氏 「地上げ屋~時代の深淵~」(前編)
更新日:2020年6月18日
◆ご挨拶
皆さんこんにちは。不動産業界の今日と明日を照らすメディア『リアルE』編集部です!
今回は新企画、不動産業界の先駆者達にインタビューする「不動産ワーカーズインタビュー」の第一号です!
どちらかというと真面目な(というか形式ばった)記事が多い本誌ですが、今回は口語でより具体的で読みやすい記事構成にしてみました!
皆様是非最後までお目通しお願いいたします!(好評なら第二弾も考えております!)
さて今回インタビューするのは、業界一の地上げ屋といえばこの会社、株式会社日本住宅企画の代表取締役倉橋信二さんです。
本インタビューでは、倉橋さんがなぜ地上げ屋を始めようと思ったのか? 地上げ屋ビジネスの業務内容とは? その成功の秘訣は? などなど数々の疑問を明らかにしていきます。
またインタビューの最後には倉橋さんが実際に地上げ交渉をする現場に密着致しました!
それではご覧ください!
プロフィール
倉橋 信二 (くらはし しんじ)

東京都出身。
関東南北学院大学卒業後、新卒で都の職員に。
用地収用の仕事を2年こなし、不動産会社に転職。転職後一年目にして全国トップセールスを勝ち取る。
その後、独立し株式会社日本住宅企画を立ち上げ、32歳の若さで代表に就任。
大手デベロッパーと提携し、数々のプロジェクトを達成。現在は100名以上の社員を抱える一大企業の経営者となる。
地上げはデベロッパーかオーナーからの依頼で手法が変わる
――まず、地上げとはそもそもどういったビジネスなのでしょうか。
ここは私に取って一番重要な問いの一つでもあります。地上げ、皆さんどんなイメージをお持ちでしょうか。トラックで突っ込んだりとかですかね(笑)。
認識としてはバブル時代の頃の地上げ屋が今も強く残っているんでしょうね。
勿論そんなこと時代遅れで、もはや行われてません。そんなことしたら、宅建業免許を取り上げられるどころではありませんしね。
――なるほど、実際にはどのように業務を行っているのでしょうか?
具体的には大きく二つありまして、一つはいわゆる物上げ業者(編注:不動産所有者の方に営業をかけて所有不動産の販売を誘引する事業者)に近い業態の所です。
これは例えばマンションのデベロッパーさんとかが出口に控えていて、出口の金額から逆算して自社に利益が出るように一帯の土地を買い込んでいくスタイルです。
複数物件を確保できた段階でデベロッパーさんに一括で買い取って貰うことが多いです。
中には決まったところから押さえる意味で買い取ったり、ないしは自社でマンション開発までする所もあります。
――なるほどですね。もう一つはどのような形態なのでしょうか?
もう一つはビルやマンションのオーナーさんから、一棟ごと買取、賃借人さんを立退きしていくビジネスモデルです。
依頼を受けて賃借人さんの立退きを代行する業者さんもここに所属する気がします。
まあ依頼を受けて代理交渉してしまうのは弁護士法違反なのですが(編注:非弁行為などと総称される)。
――倉橋さんが展開する地上げビジネスはご説明いただいた中のどちらでしょうか。
弊社はビジネスで言うと「自社で土地を買い取りマンション開発と一棟を買い取り立退き」の二つをしている形です。比重で言うと4:6くらいですね。
昔はデベロッパーさんに卸すこともしてましたが、自社開発した方が勿論利益が出るのでそうしてます。大手スーパーがPB商品作るような物ですね。
地上げ相手に拾われて地上げ業に染まる
ーーいわゆる地上げ屋になるまではどのようなお仕事をされてたんですか?
私はもともと都の用地回収をする部署で働いておりました。
いわゆる都道の拡幅事業などを担当する部署です。言ってしまえばお上がやる地上げですね。
都道の利便性向上の為の道路拡張事業に従って、その道路に接する住居などを買い上げていく仕事です。
――ふむふむ地上げ屋になったきっかけは何でしょうか?
都道の用地回収事業の途中で前職の不動産会社の代表にであったのがきっかけですね。
ちょうどその拡幅ラインに代表の自宅が引っかかっていたんです。おそらく代表は狙って買っていたのだと思います。
収用のメリットが大きいですしね(編注:メリットとして買取金額が高い、不動産譲渡益の5000万までは収用だと非課税、などがあげられる)。
そこで交渉をしていたら、「君いいね」なんて話になった訳です。それで気づいたら「来月入社ね」なんてことになっていた。今考えてもあり得ない(笑)。
――入社後お仕事をは順調にいきましたでしょうか?
自分で言うのもですが中々適正がありまして、気づいたら東京支店のトップ、そして全国のトップになっていました。
それも四年連続。自分には才能があるんだなあとすごく自信を持ちました。それで直ぐ独立しちゃったんです。
――独立してからは壁にぶちあたることもありましたか?
いや、幸運にもそれは無くてでして、最初のうちはワンルームのデベロッパーと組んでやったんです。
アベノミクスのおかげですね、1年くらいかけてまとめたところが想定の30%くらい上で売れたんです。
それでもう自社開発も出来るなあとなりまして、そこからはトントン拍子。特に業績が落ちるなど予期せぬトラブルに見舞われたことも無いです。